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Channel: はがき随筆・鹿児島
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風雪

 義父が植えたという榊。炎天下に何を思うのだろう。  義父は昭和20年、硫黄島の玉砕で戦死。享年30。青年学校の指導員だったそうだ。一人息子を奪われ悲嘆の中、祖母、義母は田畑を守り労苦の連続。多くの人がそうであったように。  当時義母は25歳。祖母と2人、生後半年の夫を抱き、霧島に面会に行ったのが義父との最後となった。その年の桜は殊更きれいで……と感極まる。3世代で終わらぬ悲しみの連鎖を思う。...

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グリーフケア

 12年間、自宅でご主人の介護をし、最後までみとったSさんが亡くなってもうすぐ2年になる。ご主人を亡くして4年目の夏。末期ガンだった。  久しぶりにSさん最後のメッセージメールを読んだ。一人娘と私に、そして闘病中だった夫に「ずーっと見守っています。みーちゃん、恋もして青春を楽しんでね。長い間ありがとうございました」と書いてあった。...

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ブルーベリー

 友は上場高原にブルーベリーの果樹園を持ち、今が収穫だと言う。さすが高原。涼しい風が吹き、ヒグラシが鳴いて広々とした大地は気持ちがいい。  若木は摘むのに程よい高さ。300本の木は品種もいろいろ、枝々に赤い実、そして濃い青紫色に白粉をおびた完熟実は、さわるとぽろりと落ちる。つい口に入れた。甘さと程よい酸味がいい。アントシアンが豊富な実は目にいいそうだ。...

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うれしさも

 毎月1遍ずつ投稿する。10年後、なんと120編の創作になる。いま120編創作しろと言われても、無理難題で投げ出してしまう。やはり継続して思考しながら、愉しみながら投稿する。生きがいも生じてくる。今月はどんな題材で創作するか。新鮮味も感じてくる。  1日1㌻の日記励行。こっちの方は苦にもならず、時間設定もなく自由気ままに書く。老齢か、同じ内容のものもあるが、気にせずコツコツと書く。...

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祖母の手仕事

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風鈴 

 自室に、チリン、チリンと風鈴の音が聞こえる。今時分に毎年、妻が軒先に下げる。  結婚した頃、義母に「軟らかくいい響き」と言ったら「短冊が古いから取り換えて、絵でも描いて使っていい」と頂戴した。早速、短冊を作り、表に「地道にこつこつと」、裏に「着地が大事」と書いた。...

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夕顔の花

 隣家の鉢植えに夕顔の花が見事に咲いている。大輪の白いアサガオを思わせる。  子供の頃、田舎の家の垣根にも咲いて、それが大きなスイカのような実をつけたのを思い出した。母から、これがカンピョウになるんだと教わったものだった。  源氏物語で、光源氏に愛された「夕顔」がはかなくうせていくくだりや、粗末な家の垣根に咲く夕顔の楚々とした白い花の姿が、懐かしく思い出された。...

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元気が何より

 梅雨が明けるや暑い暑い夏になった。老体だから夏バテするのだろうと軽く考えていた。が、ひょっとしたら……と不安な気持ちがよぎった。  MRI検査で脳腫瘍の再発がわかって愕然となった。再発する前に人生を卒業したかったのに。  日課のようになっていた夫との口げんかをする元気もなかった。私自身、身も心もすり減るほど苦しんでも、脳腫瘍は居候の分際のくせしてのうのうと大きくなりやがって腹立たしい。...

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大型台風15号

 8月23日に台風15号の情報を見る。出水地方を直撃だ。24日の台風情報でも、進路のど真ん中から出水は逃れようがない。風速50㍍強の大型台風に、居ても立ってもいられず、私は屋根にネットをかぶせた。打ち付けも終えて「来るなら来い」と私は腹を据えた。...

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45年目の絵手紙

 かつて私は大隅半島東岸にある小さな中学校の教師だった。先日、45年前の卒業生から還暦同窓会の案内が届いた。担任した45人の生徒のうち3人が早世し、26人が参加するという。  当日、出水市から集合場所の中学校へ車で向かった。最後の峠のトンネルを抜けると太平洋が見える。ゆっくりと坂を下る。明らかに過疎化が進んでいる。45人中30人が集団就職したのだ、当然だろう。彼らの実家はまだ存在するのだろうか?...

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桃色吐息

 秋雨前線が、よく活動しています。世間は憲法9条問題で騒がしい? これは考えれば考えるほど、分からなくなります。  突然高橋真理子さんの咲かせて咲かせて 桃色吐息……とかメロディーが口から出てきました。そしてギリシャのチプラス首相のしたたかなこと。頭をよぎりました。日本政府は真面目過ぎるのかしら。何が何でもと必死になり、国民や有識者が、もの申しても、聞く耳は持っていないのだと感じております。...

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台風15号

 8月25日、鹿児島県の薩摩半島近くをかすめた台風15号には驚いた。  台風の後、出水の特攻碑公園の桜並木を通りかかると、いつも、春は、人々を楽しませていた樹齢50~60年ほどの大木や太い幹が10本ほど倒れたり,折れたりしていた。出水市の中心街の交差点の信号機は、停電らしく機能していない。  自宅での植物栽培用の小屋も屋根が吹き飛ばされてしまった。...

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藤色の和服で

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象形文字

 こどもの書く字は、どういうわけか昆虫に似ている。たどたどしいはらいや、迷いのある角がそういう印象を与えるのだろうか。特に『見』という字は、昆虫じみている。横にはみ出した線は足のように曲がり、はらいもはねも、触覚のように伸びている。そのまま土に潜り込みそうな勢いだ。  彼がこんな字を書くのは、きっと今だけだろう。あり数年たてば、どこかつんとした、よそゆきの字を書くようになるのかもしれない。...

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感謝のみ

2015年9月15日 (火) 岩国市  会 員   横山 恵子  今年2月ごろから車椅子を使用するようになった89歳の母。左の大腿骨を骨折した。  手術しなければ骨がつくのに約2ヵ月かかる上に寝たきりになるという。  弟が「2ヵ月もかかるのは可哀そうだから、手術してもらった方が良いよ」。    妹と弟と3人で医師から手術のリスクなどについて話を聞いた。...

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 選択物を干し終えて空を見上げたら、北海道の形に似た雲を見つけた。礼文島、利尻島にも見える雲を見ていると、旅の思い出がよぎる。「あれあれっ」。島が離れていく。目で追っていると、北海道全体の雲も青空に広がって消えていった。...

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にがごい

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ウカゼと停電

 ようやく暑さが峠を越した頃、ウカゼが大暴れして去っていった。緊張感のない生活にどっぷりだったので、台風被害と停電にはジョジョンヒッタマガッタ。遠い遠い昔の話、あの頃詳しい台風情報はなく緊張感をもって風向きなどで、ウカゼがクッドと雨戸をツッパイなどで支え備えていた。夜はきまって停電、ろうそくで十分だった。...

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フォークダンス

 近所の高校の体育祭をのぞいてみた。  プログラムを見ると、フォークダンスに出られるのは3年生の女子全員と男子選抜とある。共学だが女子の方が多いのだろう。招集場所からぎこちなく手をつないだ2人組がフィールドに向かって小走りで駆けて行く。時々「そこの2人、ちゃんと手をつなぎなさい」と教師に怒られているのがおかしい。...

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水たまり

 雨の中、市立図書館脇の道路の水たまりの中を赤い傘の少女が歩いている。その4歳ぐらいの子を傘を手に母親が見守っている。水たまりを選んで歩き、水の抵抗を楽しんで喜々としている。私に何かがひらめいた。  中学を卒業したら刀鍛冶になりたかった私。さえた寒月のような刀の色味のすごさ! オレも作りたい!...

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