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Channel: はがき随筆・鹿児島
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ほろんぱいる

 学生時代にバイクで日本一周した。暗くなってうみねこラインを走っていると「ほろんぱいる」というお休み所が見えた。芝生を張り巡らせた広い庭 (広 場)がある。おばあちゃんが一 人。野宿を頼むと快く許してくださった。 肉を焼いてもらい、 ご飯までごちそうになる。 旅先での親切ほど心にしみるものは ない。寒さで震えが止まらないが、それがまた北国という感じで、まだ見ぬ北海道がすごく身...

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雪に足跡

 南国の鹿児島でも毎年のよう に雪は降るが、積もることは珍しい。およそ3年ぶりに1月初めの鹿児島市で、積雪が見られた。街は薄い雪化粧に。風花のなか早速、自宅付近と桜島の冠雪をカメラに収め、メキシコの 5歳の孫に画像を10枚ぐらい送 った。 積雪が鹿児島より珍しいメキシコに住む彼女は、赤い花と緑の葉っぱのサザンカに白い雪が ふんわり重なった写真などに感激した。一番興味を持ったのは、...

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縁側のぬくもり

 家人は出かけ、ひとりの休日。 お昼も近いが特に予定もない。窓越しにやわらかな日差しが入る。 私は縁側にちゃぶ台を運び、 窓を開け、陽を浴びる。炊飯器に残っていたご飯でおにぎりを数個握って昼食とする。何もないけど、暖かい縁側で温かいお茶。この時節に特に感じる。 おてんとうさまへのありがたさも含んだ幸せ。幸せ。相棒の老犬もいつの間にか脇で寝ている。 新聞に目を通したら、本でも持ってきましょうか。...

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ぼやきのYさん

  「そりゃあんたいろいろ あったよ」九十だよ 先日、本紙「脳トレ川柳」に 載ったYさんの秀逸句である。 Yさんとは鎌倉のマジッククラブで知り合った。2人でよくボランティアで出演したが、Yさんお得意のぼやきマジックは、どの会場でも拍手喝采だった。 若い頃、Yさんは下戸なのに「酒場に毎晩通って、大もてした。...

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孫娘の笑顔の写真

 関西に住む孫娘は今春学業を終え、社会人の仲間入りをする。大学の4年間は学校、バイト、留学など学生でしかできない多くの経験をして悔いのない学生生活を送れた、と喜びを知ら せてきた。私ら夫婦は安堵 し、よかったと心から喜ぶ。 新型コロナウイルス禍で 卒業旅行も帰省もできない。そんなこともあり、今 は就職後の配属によっては自炊になるかもしれないと いうことで食事作りを練習...

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 疱瘡の感染対策学ぶ

 新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が10都府県で1カ月延長されることに なった。 厳しいけれど改めて外出を控える重要性に心するとともに、1月4日付「天風録」を思い出す。 その中に「疱瘡が流行した江戸時代、岩国藩は患者用の生活費も負担して隔離政 策を採ったという」との一節があった。疱瘡とは天然痘のこと。 私はこのことをおよそ10年前に知り書き留 めていた。...

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小さな大冒険

 ある有名な川の源流。そこか ら湧き出る澄みきった神秘的な 水ー。そうした映像をふとし たきっかけで見た。「源流」と いう言葉など知らない小学生時分の小さな大冒険が胸をよぎる。 それは単純な疑問から始まっ た。この小川の上流はどうなん だろう、そこへ行ってみよう、 と深く考えもせず向かった。今 にして思えば無謀極まりない。 親や先生にばれてしまえば、厳...

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#わきまえない

 「女性の役員が多い会議は長くかかる」という森元総理の言葉を私はぼやーっと聞いて女性は正すべき事を正し熟議するという誉め言葉だと勘違いしてしまった。よく聞いたら真逆だった。この方は女は立場をわきまえて黙っているべきとお考えなのか。早速#わきまえない女性たちが声を上げ始めた。 |...

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夫のボサボサ髪

  12月最後の日曜日、髪はボサボサ、ひげも伸びている。喫茶店で斜め向かいに座った主人をまじまじと見てしまった。 サー私が「散髪行ったら」と言っても「行かない」と言うだけだろう。黙っていよう。 自宅に帰 ると、主人が「散髪行ってくるわ」と自転車で出ていった。珍しい。自発的に行くとは......。  「おぉー寒い寒い」と言いな がら、散髪から帰ってきた。 顔もさっぱりつるつるしている。...

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刃の山

 高隈山系では炭焼き跡があちこちで今でも見られる。7年前 までに3回ほど登っていたが、 山仲間と久しぶりに挑戦した。 数年前の垂水洪水で木々が倒 れ、岩肌が出ている。地元の山の会が設置したアルミのはしごも流されている。その代わり岩 にはクサリが設置されており、どうにか登れた。急登に息を弾ませ、仲間と遅れてようやく山 稜に出た。岩峰の展望台ではガスで見えなかった。 引き返して第2展望台の大岩にて昼飯...

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 今でも忘れられない友達がいます。若い時から何でも話し合える友達でした。その友達が、大恋愛をして親から大反対されました。それはそうです。 相手は旅回り劇団の雑用が仕事とのこと。友達のAさんは親が許さないなら阿蘇山に飛び込むというので仕方なし。2人は結婚しました。相手の人は苦労人で良く人の世話をされていました。 Aさんはあの人が死んだら私もすぐに死ぬと言っていました。 2人は子供、孫ができました。...

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はがき随筆の2月度

はがき随筆 2月度の受賞は次の皆|熊本皆さんでした。 (敬称略) 月間賞に廣野さん(熊本)佳作は川畑さん(宮崎)、山下さん(鹿児島)、西さん(熊本)一 神さん」西洋史―熊本市北区 【月間賞】19日 「時間」廣野香代子県八代市【佳作】27日「明るい出会い」川畑昭子=宮崎市△2日 「シャンプー」山下秀雄=鹿児島県出水市△28日「天神さん」西洋史=熊本市北区...

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マスクはいつまで

 「あんた誰け」「私じゃが」 |顔を見合わせ、マスクを顎ま でずらして大笑いしている。 北方町運動公園で、高齢者の グラウンドゴルフ大会が開催さ れた。100人ほどの男女が年 1回の大会を楽しみに集まる。 気温も上がった。上着を脱い だり、マスクに手をやったりする人が目立つ。外したいのだろうか。 それでもコロナウイルスの怖さを知っているから誰も外 さない。「三密、三密」と苦笑...

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 大道 芸

 大道芸の若い外人さん。「ワタシでんまーく人デス」。長い風船で中学生をさして「ハァイ、 アナタ、でんまーくノ首都ハ?」「コペンハーゲン」。即答に拍手が起きたコロナ禍前。 ワタシは (デン助さんはコペンとハゲる) と教えた、遠い日の妹を思い出した。 デン助さんはハゲのかつらの、その頃売れていたコメディアンだ。  街頭から大道芸が消えた。 外 人さんもデン助さんも記憶の中で消えかかる。...

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お陰さま

 散歩の帰りに近所の方にばったり会い、新型コロナウイルスの話になった。 彼いわく「ステ イホームで石油ストーブがどんどん売れて在庫がないらしい」と。我が家では石油ファンヒー ターに替えて30年以上たつ。石油ストーブのよさを思い出し、欲しくなった。家に帰り、夫に相談して買うことに。量販店2  軒目に小ぶりのものが一台あった。 居間兼台所に置き、さっそくお芋も焼いた。そういえば、亡...

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闘魂

 食事中に何気なくテレビを見 ていたら数秒のニュースの中で アントニオ猪木の療養姿が映った。腰が悪くてリハビリしている覇気のない姿に驚いた。 今から40~50年前、彼のプロレスに憧れ、三拍子のリズムにのって「ガン」「バレ」「イノキ」と声援をおくった。その気持ちを仕事に置き換えて頑張っ 。  弱音をはいたり壁にぶち当た ったりすると、彼の闘魂を思い出し、人生を乗り切ってきた。...

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旅と音

 60歳代のとき、年に数回海外旅行に行った。美しい風景などのほか、意外と現地で聞いた音が思い出として残っている。 イスタンブールでは、街中に鳴り響いた、お祈りが始まる合図「アザーン」。スイスのルツェルンでは、散歩中に上から降ってきた、とんでもなく大きかった教会の鐘の音。シルクロードの街カシュガルでは、バザール中に響いていた、ウイグル族のおじさんのかけ声。...

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2を見落とし

 尿意で目覚める。薄暗がりで見たデジタル時刻は348。 5時間ぐらい眠ったなとトイレに向かう。腕時計を確かめるとまだ11時8分。なんだこりゃ、故障かと思ったが、針は確実に時をを刻んでいる。部屋に戻り見直すとデジタル表示は2350。なんと2の見落としだった。わずか1時間の眠り、日付も変わっていなかったわけ。 まだ暗い3時や4時に目覚めるのはごく普通なので、無意識...

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しんきろうの島

「往診の道すがら見ししんきろう」。句碑の建つ山道から、 眼下に見える下甑島瀬々野浦集落。沖にナポレオン岩がそびえ立っている。 コミック「Dr.コトー診療所」を読んでいる。 診療の角を右に曲がると公民館があり、橋を渡るとい50㍍先に我が家の住む集合住宅があった。20年ほど前に3年間住んでいた。   Dr. コトーのモデルになった先生は、わらじを履いて診察をしていた。島の暮らしは、当...

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鶴渡る里

  鶴渡る出水の地に生まれ70年になるが、今年ほど鶴に思いを寄せて見たことはなかった。 世の中はコロナ禍で人と人が会えない、集まれない。人間の一番大切な部分が制限された。そして鶴にも鳥インフルエンザの危機が迫った。 親子で寄り添う姿、群れで憩う光景はまぶしく、どうか無事でありますようにと祈るような思いで眺めた。青空に舞う鶴にも同じ思いで手を振った。...

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