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Channel: はがき随筆・鹿児島
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母の着物

 「母ちゃんどこに行くと?」。きれいに着飾った母の着物の袖を引っ張りながらついて回った。母はクスッと笑っているだけだった。三十路だったろうか? ほんのりと化粧が匂った。...

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ドクダミ

 雲の低い6月の空の下、庭奥の一隅にドクダミが群生している。緑濃いハート型の葉群の上部に白く咲く花は、なんとも涼し気で好もしい。そのネーミングもすてき。薬草として毒を矯める、から派生したという記述を読んだ記憶がある。生の葉をもみ、その汁を塗ると水虫にも効くとか。 私はこの花の時期に茎を根元から摘み、乾燥したものを煎じて冷茶として飲んでいる。...

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快晴カレー

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きょうだい

 父が二十歳で陸軍2等兵になった歳、三つ下の弟は陸軍士官学校へ進んだ。生家は働き手を失った。 軍隊内で2度会ったという。異郷の地で兄弟は何を語ったろう。遠い故郷の母や稲穂の風景だったか。兄ははるか上官の弟に敬礼をしたのだろうか。 敗戦の翌年復員した兄は弟の生死を怖くて何日も聞けず、家族も聞かれるまで言わなかった。全戦死者の大正生まれの男の占める割合は83%だという。弟は何も残さず空に散った。...

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今こそ大地を

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平和とコロナ

 私が卒業した小学校の校歌は5番まである。普段は2番まで歌うが、卒業式と入学式の時だけ5番まで歌う。 この校歌は私が生まれた昭和24年に当時の校長先生が作詞して新しく作られた。その4番に、「自主と自由のしるしもて」、5番に「民主日本の若き楯」とある。教え子を戦地に送った悲しみ、戦後教科書を黒塗りにした苦しみ、未来を担う子どもたちへの強い願いがそこにある。...

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父の祈り

 8月15日に全国戦没者追悼式がテレビで放映される。その時父母と姉、私は正座し式典に参加している気持ちとなった。 従軍記者の経験がある父は戦地のことを語るのだった。ある日、行軍中に相手から突然発砲を受けた。命令が出ないので自分が「伏せ! 伏せ!」と大声を発したと。危機一髪での命拾いであった。「最前線へ行ってきた」と言うのが父の口癖であった。...

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コロナ給付金

 コロナ対策の定額給付金が届いた。財源はもともと私たちの税金なんだから、首相に上から目線で恩を着せられたくないものだが。 私たち夫婦は実家の母と同居しており、家賃がかからない分、わずかな年金でも生活は成り立っている。コロナの影響はほぼない。...

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ドラゴンと餃子

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はがき随筆7月度

 月間賞に平田智希さん(宮崎) 佳作は増永さん(熊本)、 福島さん(宮崎)、 馬場園さん(鹿児島) はがき随筆7月度受賞者は次の皆さんでした(敬称略)【月間賞】 18日「若木の香り」平田智希=宮崎県都城市【佳作】14日「7年後の気掛かり」増永陽=熊本市中央区▽5日「間借りできます」福島洋一=宮崎市▽28日「ツバメの再来」馬場園征子=鹿児島県薩摩川内市...

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山と音と風と

 一時の晴れ間に、栗の木の下草を切る。全身に浴びた日差しは暑く、汗が流れ落ちる。 1時間ほどで機械を止め、切った草の上に腰を下ろす。取り換えたタオルで顔を覆い汗を鎮めた。遠くの国道を走る大型車の音が近づいては消え、耳を澄ませると、かすかに五ヶ瀬川の瀬音が入ってくる。 静けさの中のその音は目を閉じていると眠りにさえ誘われる。「山はいいなぁ」。空気がいい。風がいい。...

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ウオミケマイマイ

 小学1年生の孫が急にカタツムリを飼いたいと言い出した。図鑑を見て興味を持ったようだ。自宅付近で探したがみつからなかったので「じぃじの庭で探して」と依頼が来た。...

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新人採用

 新しい状業員を採用した。働けと命令すれば24時間いつでも働く。しかも文句一つ言わずにモクモクと働く。「きついから給料上げてください」とも言わない。「今日は体調が悪いから休ませてください」とも言わない。その正体はロボット掃除機である。 中には、その動きがペットみたいに思えてニックネームまで、つけている人がいるというが、その気持ちは何となく分かる。近づいてくるとついヨシヨシ頭をなでたくなるのである。...

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余計なお世話でも

 加齢とともに「意地悪ばあさん化」「小言幸兵衛化」に拍車がかかつてきたように思う。...

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母の忌に思う

 「ぐつぐつ」と煮物に味が染みていく。味見をするが、何かが足りない。母の煮物の味とはちょっと違うようだ。秘訣があったのだろうか。母は一品一品丁寧に作っていたようだった。やはり愛情の深さが味の決め手になるのかもしれないと思った。...

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心のアルバム

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本日のアドバイス

 夕食後、「俺が片付けるから歩いてこいよ」。夫のことばに促され外に出る。久しぶりの小丸川堤防。灰雲に覆われているが、西の雲間にオレンジの夕焼け。なんだかほっとする。 4月に肩、腕に痛みがでた。痛みはなかなか治まらず、コロナの広がりと相まって気持ちは沈んでいく。体力も落ちていくのにはねのける気力がない。...

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宝石のようなトマト

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虫に好かれても?

 花は大好きなので庭でたくさん育てている。宿根の花も多く、それぞれの時期に咲いてくれるので感心するし、ありがたい。 土いじりは好きだが、虫は苦手だ。土を耕したりすると、芋虫がコロンなんてこともある。トカゲもあいさつに顔を出したりしてそのたびに「キャー」ということになる葉っぱもよく食べて穴をあけてくれるのも嫌だ。...

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ネズミ駆除

 妻が突然「きゃっ」と叫んだ。ネズミが横切ったそうだ。そう言えば私も前日、居間で何か動くのを見た。ゴキブリ捕りシートを1週間置いたが、なかなか捕まえることができない。 ネズミ捕り器を買ってきてセットした。プラスチック製の箱の中にチーズを置くとネズミが入り、入り口が閉まる仕掛けになっている。翌朝にはもう小さなネズミが入っていた。...

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