一時の晴れ間に、栗の木の下草を切る。全身に浴びた日差しは暑く、汗が流れ落ちる。 1時間ほどで機械を止め、切った草の上に腰を下ろす。取り換えたタオルで顔を覆い汗を鎮めた。遠くの国道を走る大型車の音が近づいては消え、耳を澄ませると、かすかに五ヶ瀬川の瀬音が入ってくる。 静けさの中のその音は目を閉じていると眠りにさえ誘われる。「山はいいなぁ」。空気がいい。風がいい。 下界ではグレーに似た風が吹き続き、やむ兆しが見えない。 いつになったら平穏な風が戻ってくるのだろう。 宮崎県延岡市 川並ハツ子(75) 2020/8/18 毎日新聞鹿児島版掲載
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