はがき随筆5月度
はがき随筆の5月度月間賞は次の皆さんでした。(敬称略) 【優秀賞】12日「ミルク」塩田幸弘=出水市下知識 【佳作】21日「贅沢日和」堀美代子=姶良市加治木町 ▽24日「地震と夫婦の会話」本村守=湧水町木場...
View Articleうまく巻けない
娘とランチに出掛ける。お店の2階はおしゃれなたたずまいでリッチな気分になる。運ばれてきて前菜、ピザとたっぷりチーズのパスタ。「うわー」と、私は少々興奮気味なのにパスタがうまく巻けない、もどかしく思いながら娘の方をチラッ。いとも簡単にくるくると……。...
View Article群生
庭端に大きく枝を張った梅の根元に、群生して咲いたシランが辺りの静寂さを増す。その中に惰円形の葉と葉腋から筒状の花が1個垂れ下がり、花先が緑色をした草花を見つけた。調べてみると、寺院の四隅につるしてある宝鐸に似ているので宝鐸草とある。増やしたい。北側はアヤメが群生し、つぼみをつけている。...
View Article里山を歩く
認知症には運動、好奇心、社交力の三つが予防であると、物の本には書いてある。亡き親父が80歳を過ぎて軽い認知症になり、明日は我が身と思わないでもない。 最近、旧松元町の「春山いこいの森」のことをかごしま自然百選で知った。さっそく好奇心が湧き、人に聞いてようやく現地到着。里山を歩き山道を息を弾ませいくと、山頂は期待以上であった。...
View Articleクジャクサボテン
朝起きて縁側のカーテンを開けたら、クジャクサボテンの大輪が目に飛び込んできた。カミさんが朝食の支度をしている間に、カメラを持ち出した。テープルの上からデカ猫イークンが「ボクを写すのかい」というような顔をして「ニャーン」。...
View Article告白
「じいちゃんとばあちゃん、どっちが先に告ったの」と小3で腕白坊主の孫が聞いてきた。 思えば地元の高校から地元へ就職し、初めて現れた男性の求婚に、当然のごとく首を縦に振った。結婚生活は、母と5人の下宿生との同居から始まった。...
View Article父の後ろ姿
デパートのレストランで、隣り合わせた高齢の男の方がループタイをしておられるのを見て、亡き父を思い出した。父もループタイが好きだった。 私には、今でも忘れられない父の姿がある。それは、自転車をこぐ父の後ろ姿である。...
View Articleワクワクな人生
「キャー! これは何なの? 挑戦状? それともパズル?」。送られてきたメールはたくさんの数字の羅列と少しの漢字が画面いっぱいにはいったものだった。私のメール史上、初の大事件である。...
View Articleガリレオ温度計
正式にはガリレオガリレイ温度計。炭化水素溶液入りの透明な円柱に、数字付きの楕円のガラス球が数個浮かんでいて、その球体が上下して気温を示す。 初めて見たのは20年ほど前で、欲しいなあと思いながらも買わずにいたのだ。転居した際、北海道のいとこからお祝いをもらい、何か「普通でない」お返しをと考えているうちに時宜を逸してしまった。...
View Article母の日に思う
母が父の5カ月後に手の届かぬ世界へ旅立って、はや8年となる。生前、私の両手をしみじみと見ながら「あんたの手はお父ちゃんの手に似てよかった。きれいな手だ」と言っていた。 父と2人で畑の土にまみれ、手の節も曲がり、手のひらもガサガサしていた。幼いころ「背中がかゆい」と訴えると「ガサガサしているから気持ちよかろうが」と言いながら、かいてくれた。髪の毛も編んでくれた。...
View Articleアジサイ 母の墓前に
2016年5月31日 (火) 岩国市 会 員 山本 一 わが家の白いアジサイが、間もなく満開になりそうだ。これから6月中旬まで、6種類のアジサイが庭に咲く。 アジサイが咲き始めると、決まって母を思い出す。病院に寝たきりで、この時季になると、毎日のように種類を替えて生け替えた。 3年前の6月9日の明け方、前日に私が持って行ったアジサイに見守られ、母は逝った。...
View Article誤解です
2016年6月 4日 (土) 岩国市 会 員 山本 一 「一日中釣り糸垂れて世捨て人」「気の長い釣り人今日も日向ぼこ」「星空に釣り糸垂らし春の夢」。川柳句会で仲間3人がこの句を詠んだ。釣り好きで退職後も週1回必ず釣行きする私は黙っておれなかった。...
View Article気まぐれ罪作り
岩国市 会 員 吉岡 賢一 今年は玉ねきが不作だった。初体験する惨めな姿に「畑作りが悪かったか?」「植えた時期は?」「肥やしの時期や量は?」などとまずは自分の腕を疑った。いずれも例年通り、特別なことは何もしていない。...
View Articleウソッ
結婚指輪を外して何年になるだろう。離婚したわけではないが、年々指がグローブ化して、肉にくいこんてきてやっとの思いで外した。先日、娘が指輪を借りに来た。元々骨太の私なので、娘の手入れされた細く長い指には合うはずないと思ったのだが「ピッタリ、ウソッ、信ジラレナイ」。ということは私の指も以前は……。これまたビックリ。今では第1~2関節の間はでしか入らない。...
View Articleポップコーン
ポップコーンは難しい。乾燥させたコーンを加熱するだけの、料理ともいえない代物だが、実際作ると悩ましい。全部弾けさせようとすると焦げがつくし、半端に止めると敗残兵のような種が鍋底にたまる。...
View Article「よく」ある話
2016年6月26日 (日) 岩国市 会 員 山下 治子 「オレ、お金持ちになる」と帰って来るなり、孫が言う。 「お財布ちょうだい。これを入れとくとお金が貯まるってジイちゃんがくれた」と、いつもなら蛇を怖がる孫が興奮気味に話す。カラの財布を渡すと蛇の抜け殼を入れ、一時も離さず抱いて寝る。だが、翌日から「何でエ」と半べそ顔だ。...
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