万有共有語
満々と枝葉は語り、風と木は語る。鳥と虫は語り、空と風も語り合う。庭を眺めながら天空風水土木(万有)の間には共有語があると思う。そのように枝葉伸び、そのように風も水も動いている。何者かを感知し、存在の必然を汲み、常理を読む。 人体も臓器は語り合うそうな。私も万物共有語を聞き取りたいが、木の剪定も草むしりも捕虫殺も人為淘汰。自然の空気を乱す所業に過ぎない。...
View Article高速道路
私は高速道路が苦手だ。スピードを出すのが怖い。台風が近づく中、仕事で日之影に行くことになった。一般道路は道が狭い上にカーブが多い。迷ったあげく、高速を通ることにした。...
View Article鹿児島弁検定
近年方言が見直されているようだ。戦中戦後「方言をつかわないようにしましょう」と、標準語を強要された世代。従って鹿児島弁への愛着心は人一倍だ。 〝かごっま弁検定〟のことを知り、中級に挑戦し合格したのが昨年のこと。今年も9月1日実施の報告を受け上級に挑戦した。...
View Article彼岸花
2019年10月24日 (木) 岩国市 会 員 片山清勝 彼岸花はいつの間にか咲き、いつの間にか消えているといわれる。大きな花は1本茎の頂端で外側に反り返って咲く。花と葉を人に例えて「一生涯会うことがない」といい、だからこそ 「葉は花を、花は葉を思う」とされる。「相思花」とも呼ばれるゆえんだ。...
View Article母の味付け
2019年10月25日 (金) 岩国市 会 員 片山清勝 父は長男、その弟妹は何人だったか、それが盆と正月には子連れで来る。その賄いで母は忙しい。賄いの一つに、1段30個で5段重ねの押しずしを作る。母が準備したネタを父はすし桶に重ねるだけ。客らは「兄さんのすしは日本一」と褒める。...
View Article糸手毬
天草から引っ越してきたおばあさんが、挨拶回りの際に小さな糸手毬を手渡した。「これはどうしたのですか」と家内が聞くと「私が作りました」と答えた。「教えてもらえませんか」と頼むと、快く応じてくれた。 発泡スチロールを砕き布切れに包んで球体に整えてから、黒糸で地割りをした。赤、白、緑などのリリアンを通した布団針を手際よく使って、菊模様の手毬ができあがった。...
View Article大器晩成?
どうにか職に有り付いた20代の頃。夢も希望すらなく、しょぼくれた青春時代を送った。仕事帰りは居酒屋通い。仲間と安酒を囲んではおだをあげた。路地裏で、易者に出会ったのが運の尽き。「大器晩成の相が」と言うではないか。急に世の中が明るくなった。人生、捨てたもんじゃないなあ。めらめらと生きる勇気が湧いてきた。...
View Article幼稚園から落第
次女はメキシコで3歳の娘を子育て中。孫は音楽が流れだすと全身で踊りだすおしゃまさん。時差15時間の地球の裏側でスペイン語と日本語を話す姿が、毎日タブレットの無料テレビ電話で見られる。...
View Article主
池に大きな鯉が1匹泳いでいる。子供の頃、「その鯉は池の主だから取ったらいかん」と言われたものだ。それだけでなにやらそこの場所が神聖なものに感じるから不思議だ。 人間の世界にも主がいる。こちらは少々厄介である。職場で中途入社の人たちが早い時期に辞めてしまう。その人たちに辞めた理由を聞くと多くは主との関係が原因らしい。...
View Article一手
中央にできた相手の大きな陣地に、もう打つ手がない。あの一手がよくなかったと悔やむ。囲碁ゲームをさかのぼり、再びゲーム再会。 以前と異なるゲーム展開に、人生もこういう風にいかないものかとふと思う。受験や恋愛や仕事に子育て。あの時ああしていればと後悔しても戻れない。...
View Article知らなかった父のこと
2019年10月28日 (月) 岩国市 会 員 片山清勝 テレビ番組で、父と同じ明治生まれの人が明るく語り、「110歳」と出た。父はこの半分しか生きれなかったのか。あらためて早世を思った。...
View Article捨てられない
2019年10月29日 (火) 岩国市 会 員 山本 一 オーディオが故障した。次女が置いていったもので、30年ものだ。妻と電気店で下見。CDプレーヤーを更新すればまだ使えるが、約10万円で丸ごと更新すると決断した。捨てる前に持ち主の了解が必要だ。 次女が独り言のようにつぶやく。「私が高校の時にお父さんの反対を押し切ってアルバイトをして、そのお金で買った。確か当時20万円近かったと思う」...
View Articleつり橋
2019年11月 1日 (金) 岩国市 会 員 角 智之 「山のつり橋や どなたが通る」で始まる懐かしいヒット曲「山の吊橋」は、深まる秋の情景を巧みに描写している。 我が家近くのつり橋は、晩秋にはワイヤに覆いかぶさった木々の紅葉が素晴らしかった。眼下に清流を眺めながら、「しょいこ」を背負った人の渡る光景は、この曲を絵にしたようだった。...
View Article他人事にあらず
2019年11月 3日 (日)他人事にあらず 岩国市 会 員 森重 和枝 連日、台風19号の被害状況が放映される度、平成17年の水害を思い出してしまう。今回もバックウオーターやダムの放流の仕方が原因の一つとされるが、あの時もダムの放流で増水し、逆流したと後で知った。...
View Article思い出ひとり旅
秋ともなれば十数年前の北海道旅行を思い出し、アルバムを開いてみた。みんな若く、はつらつとしている。ラベンダーの広がる富良野の風景が浮かんでくる。薄むらさきの花の香りに深呼吸をしたことを思い出す、そばに立つ亡夫はお気に入りのジャケットにリュックを背負い、思いきりの笑顔だ。何がそんなにおかしかったのだろう、聞いてみたい。...
View Articleちぢむ身長
「看護師さん、ちゃんと測ってよ」。神妙な面持ちで身長計の台に乗る。「何センチ?」「ええと、181㌢かな…」「ええっ」。わが耳を疑った。これまでの人生でたった一つの自慢である身長がちぢんだのだ。...
View Article曾孫の七五三祝い
曾孫4人が七五三の祝い。孫娘の方は「数え年」7歳と5歳。孫息子の方は5歳と3歳。神社参詣日は違っていた。 孫娘の方の宮参りに同行。綺麗な振り袖に髪飾り、可愛い姿。成長の早さに驚く。記念写真では妹の方が恥ずかしがり屋で正面を向いてくれず、やっと撮れた。...
View Article台風の日の記憶
何度も台風の文字が飛び交った日。ワンシーンを思い出した。兄たちは雨漏りを見つけては競って洗面器やバケツを置いた。母は、急いで晩御飯を作った。幼い私は「お父ちゃん~」と何度も格子戸を開けて叫んだ。 父は、雨戸に板を打ち付けたり植木を縛ったりして激しい台風に備えていた。次第に雨が横殴りになり雷が鳴り始めた。...
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