2019年10月24日 (木) 岩国市 会 員 片山清勝 彼岸花はいつの間にか咲き、いつの間にか消えているといわれる。大きな花は1本茎の頂端で外側に反り返って咲く。花と葉を人に例えて「一生涯会うことがない」といい、だからこそ 「葉は花を、花は葉を思う」とされる。「相思花」とも呼ばれるゆえんだ。
数年前、そんな彼岸花がどういうわけか、わが家の庭にやってきた。茎が地面からのぞくと、すーっと一気に伸びて花が咲いた。
その翌年、子どもの頃にした夏休みの自由研究のごとく伸び方を観察した。
1日目8㌢、次は14㌢、そして18㌢、8㌢と伸び、5日目の4㌢で伸びは止まり、6日目に開花が始まった。毎日、朝7時半と夕方に計測をした。
そして茎はおよそ7割、夕方から朝までの陽光のない時間帯に伸びるのだと分かった。「知らぬ間に咲いていた」といわれるのは、人目のつかない夜に成長するからだと確信した。
以前、彼岸花で有名な中国山地の公園を訪ねたことがある。一本一本の樹木の根元にびっしり敷き詰められたように咲いていた。まるで赤じゅうたんの座敷だった。こぼれ日に輝く赤色に不思議な感覚を覚えた。
彼岸花には毒がある。子ども時分、「触るな」と教わった。その毒がモグラから稲田を守ったという。
今は庭でも咲く花。赤、白、黄などがあり、きれいに咲きそろう花壇が近所にもある。
彼岸花は別名も多く不思議な花のようだ。その謎深いところがまた趣深い。
(2019.10.24 中国新聞セレクト「ひといき」掲載)
数年前、そんな彼岸花がどういうわけか、わが家の庭にやってきた。茎が地面からのぞくと、すーっと一気に伸びて花が咲いた。
その翌年、子どもの頃にした夏休みの自由研究のごとく伸び方を観察した。
1日目8㌢、次は14㌢、そして18㌢、8㌢と伸び、5日目の4㌢で伸びは止まり、6日目に開花が始まった。毎日、朝7時半と夕方に計測をした。
そして茎はおよそ7割、夕方から朝までの陽光のない時間帯に伸びるのだと分かった。「知らぬ間に咲いていた」といわれるのは、人目のつかない夜に成長するからだと確信した。
以前、彼岸花で有名な中国山地の公園を訪ねたことがある。一本一本の樹木の根元にびっしり敷き詰められたように咲いていた。まるで赤じゅうたんの座敷だった。こぼれ日に輝く赤色に不思議な感覚を覚えた。
彼岸花には毒がある。子ども時分、「触るな」と教わった。その毒がモグラから稲田を守ったという。
今は庭でも咲く花。赤、白、黄などがあり、きれいに咲きそろう花壇が近所にもある。
彼岸花は別名も多く不思議な花のようだ。その謎深いところがまた趣深い。
(2019.10.24 中国新聞セレクト「ひといき」掲載)