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Channel: はがき随筆・鹿児島
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そうそう‼

 車を走らせながら、娘は何かを思い出そうとしている。「もしかして○○のこと?」「そうそうそれそれ」。娘はとんきょうな声で喜んでいる。「お母さんの記憶ってすごいね」「たまたまよ」。思い出せないときのもどかしさ、忘れた頃にひょっこり現れたりして「そうそう」と、盛り上がったところで温泉に到着した。...

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蚊帳の思い出

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B-4

 ダンスバトルに初めて参戦したとき「チーム名は?」と聞かれ、ばあさん4人組だから「B-4」にしようか、がスタートだった。当時、60歳前後だった私達は「還暦ダンサーだねぇ」とはしゃぎまくってヒップホップダンスを楽しんできた。...

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黒い太陽

 5分前の事も忘れるのに74年前に歌った軍歌が口に出る。「義憤にもえて血潮わく」。鉢巻をして軍事工場に列を作り、只々勝つ事を信じ意気揚々と歌ったあれは何だったのだろう。  友達と帰り道に空からの攻撃。畔に身を丸めて、その横にブスブスと弾がささる音。体も足も震えはうようにして帰った。...

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夕暮れ時に

 夕暮れになると玄関灯とはべつにもう一つ、廊下に小さな明かりを灯す。常夜灯を兼ねたその淡い照明を用事で訪れた青年がとても気に入ってくれた。  「明かりがきれいですね」。感じ入るように彼は言うと卵色の揺らぎをじっと見つめた。...

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へ鯛

 スーパーの鮮魚売り場に「へ鯛」の広告ポップ。ワゴンには氷が敷かれ、へ鯛が陳列された。奇妙な名称だけにワゴンの周りにたたずむ。一尾380円と手ごろな値段だが「へ」は屁をひる、屁をこくなど生理現象を意味するだろう。...

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74年目の回想

 昭和20年8月9日午前11時近く、私たち50余人の生徒は熊本市東部近郊の甘藷畑で汗していました。突然、空襲警報のサイレン。隣の桑畑に退避します。...

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仏壇の花

 仏壇の花の水を毎日入れ替える。普段は朝の1回で済ませる水替えだが、夏場の今はそうはいかない。花瓶の中がすぐに湯に変わるので朝昼夕の3回は替える。それも水だけでは追い付かずに冷蔵庫の氷を継ぎ足す。それでも花のもちが悪い。葉っぱがすぐにしおれてしまうので、1週間ほどで取り替える。...

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傘寿

 物忘れが激しくなり、一度に二つの仕事はこなせない。こんな状況になれば「何がめでたい誕生日」の心境にもなる。  カミさんが80歳の誕生日を迎えた。「何がめでたい」と言ってはいられない。80歳にちなんで8000円の花をアレンジしてもらい贈ることにした。...

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お時間ありますか

 信号待ちをしていたら数人の小学生の中の一人に「○○小の□□です。お時間ありますか」と声をかけられた。そして「佐土原町の名物を三つ挙げてもらえませんか」と聞いてきた。アンケートを取っているらしい。  佐土原町は、平成の大合併で宮崎市に併合されたが、町民の熱い郷土愛は脈々と受け継がれているんだなあと感心しながら少し考えて、佐土原ナスと鯨ようかん、生姜を挙げた。...

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86歳生還す

 久しぶりにリハビリマッサージへ。若いスタッフが、体力が衰えていますねという。さすがプロ。実は小生手術後1か月。...

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墓所

 散歩道の脇に墓所がある。何気なく中に入ってみると、「昭和19年南洋群島にて戦死32歳」と刻まれた墓碑が目にとまった。南洋群島のどの島で亡くなられたのか。死因は戦闘死、病死、餓死、玉砕それとも……。  遺骨は帰ってきたのか。家族の悲嘆はいかばかり。亡くなった方f 故郷に帰りたかっただろうな⏤⏤。...

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ジャガイモ

 店先に並べられている不ぞろいの拳大のジャガイモが、目にとまった。手に取ると土の香りが残っていた。  戦時中に農家への奉仕作業をした時の事が浮かんだ。食糧難時代で、十分に食べることがままならず、作業の後に出された、ふかしたジャガイモの素朴な味は忘れない。...

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酷暑での想い

   「暑い暑い」と口にするだけでも、心も体も焼けただれそうな日々だ。涼しいところに逃げ出したい気持ちだが、現実的にはそうもできない。ふと、人生前半を過ごした南阿蘇山麓での夏が懐かしく蘇る。  エアコン、扇風機など知りもせず、暑さしのぎは団扇だけ。涼風は家の中を吹き抜け、夜は蚊帳をつった床で母が孫たちを団扇であおいでくれていた。...

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墓の行く末悩ましく

2019年8月19日 (月)    岩国市   会 員   吉岡賢一  お盆を前に、墓掃除に行った。古い集団墓地なので水道などの設備はなく、掃除用の水は家から車で運んだ。普段の無沙汰もあってまずは墓石周辺の草取りから始める。次いで石塔を磨き、供物台、花立てなど、動かせる石は全て動かし、完璧に磨き上げた。...

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カンナと終戦の日

 強い日差しの下、赤や黄のカンナが咲き誇る。昭和20年8月15日正午、終戦の玉音放送を聞いた佐世保市もこんな暑さだった。  「日本は負けたごたるね」。祖母や母が涙すのを「神国は必ず勝つ」と教育されていた9歳の少年は不思議な思いで、庭のカンナと交互に見つめた。...

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85歳へ

 母99、父97で逝った。そして私かなと思いながら84のときに瘤の再手術のため入院、退院してまもなくころんで再入院、と悪いことの連鎖。計半年をベッドですごした。  花も、もえいでる新緑も見ずの日々。こう長いと風や外気にあいたくなり、さらに生ものを食べたくなって心が騒ぐ。つまり治療をガマンが上わまわってしまう。我慢を旨とする治療生活。...

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懐かしい校歌

 この夏、57年目の中学校の同級会をもった。恩師は80代、我らが古希を迎える年齢である。長い年月はそれぞれの歴史をうかがわせる。  特に南阿蘇は3年前の熊本地震で人生の歯車を大きく変えた。卒業生は160名であったが、今回の参加者は35名。久しぶりの再会は笑顔と懐かしさでいっぱいであった。...

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眠りから覚めて

 読み聞かせで満足感を共有するには絵本選びは大切なプロセス。たくさんの本の中からこの一冊に決めるまでには迷いも伴う。読み聞かせのボランティアも6年目。一週間ごとの本選びはあっという間に巡って来る。...

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読書の世界

子供の頃、児童文学『サムライの子』を読んで、しばらくその世界から離れられないでいた記憶がある。読書の世界に入るキッカケとなった一冊である。  海援隊の武田鉄矢さんが『竜馬がゆく』を読むと「坂本龍馬が我が家の中で歩き出すのですよ」と言われたことがあるが同感である。30代から司馬文学歴史小説に熱中したが登場人物たちと友人になれたように感じるから不思議だ。...

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