5分前の事も忘れるのに74年前に歌った軍歌が口に出る。「義憤にもえて血潮わく」。鉢巻をして軍事工場に列を作り、只々勝つ事を信じ意気揚々と歌ったあれは何だったのだろう。
友達と帰り道に空からの攻撃。畔に身を丸めて、その横にブスブスと弾がささる音。体も足も震えはうようにして帰った。
3日目、町は焼け野原になり黒い太陽を見た。恐ろしいことが起こる気がした。そして広島、長崎の原爆。平和記念式典にテレビの前で黙とうし涙がこみ上げた。亡くなった方の死を無駄にしてはいけない。戦争反対を心の底から命の限り叫びたい。
熊本県八代市 相場和子(92) 2019/8/29 毎日新聞鹿児島版掲載