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Channel: はがき随筆・鹿児島
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バシー海峡

 台湾旅行で、私はバシー海峡を見た。南の海は明るい。しかしこの海峡はかつての戦争で数十万の日本兵をのみ込んでいる。それは制海権のない海に、兵員を満載したぼろ舟でフィリピンに向かった結果である。  このことを山本七平さんは「アウシュビッツのガス室よりはるか高能率の、弱殺型大量殺人機構の創出」と書いておられる。殆どの人はこんなことは知らない。...

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「語り」への招待

 先日催された「語り」への招待という朗読会に行った。否、正確に言えばそれは朗読会ではなかった。それは正しく「語り」である。豊富なキャリアを持つプロの女性アナウンサーたちが、舞台上で芥川の「羅生門」、鴎外の「高瀬舟」などの名作を一人芝居のように朗々と「語り」かけるのである。私は新鮮で不思議なこの「語り」の世界に引き込まれていった。...

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明日がある

 電子掲示板に受付番号が表示されないので、看護師さんが私の名前を呼んだ。「ザコツシンケイツウ」さんと聞こえた。耳を疑い診察室で医師に「ザコツシンケイツウ」さんと聞こえましたと問うと「はい、そう呼んだよ」と即答された。医師と目が合い「アッハハ」と笑い転げた。誠に正直だ。...

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翁長知事を悼んで

 翁長沖縄県知事が逝去された。余りにも急なことでぼうぜんとし、深い喪失感に襲われるのをどうすることもできない。...

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18万円

 ずらりといろんなタイプのコーヒーカップが店内に飾ってある。その数二千客余りという。その中から好みを選んでコーヒー淹れてもらえる。始めて訪れたときは、入念に色や形を吟味し、さらに少し欲も出て中身がたっぷり入るような器にしたと記憶している。...

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ぐうたら度

 髄膜腫を患って30年以上。癒着がひどくて温存手術だったので残った腫瘍が視神経を圧迫し、視力障害に苦しんでいる。再発の不安に脅えながらも生き続けて、超ぐうたらババアになった。  足の踏み場もないほど部屋が散らかっているのに、気にならない。外回り担当の夫も草ぼうぼう、車庫はゴミ置き場のようになっているのに「汚れていても死にはせん」。調子に乗って私はますます手抜きする。...

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にくじ

 父が転勤族だったこともあり、生粋の方言をうまく使いこなせない。それなのに、娘との会話の中で、唐突に「にくじじゃないの」と発していた。  「なあに?...

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真夏の一夜

 その夜、夢の中の私は50代で昭和の時代の見知らぬ景色の中にいた。大きな川のそばに広がる商店街の一角に住まいがある。午前中私は散歩に出た。2本の大通りを横切り、大型店舗を横目に見て、周辺を一巡して帰ろうとするも、どうしても帰りつけない。私は専業主婦だが、夢の中ではなぜか勤めを持っていた。「遅刻する。社長に怒られる」と狼狽えまくっている。...

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人目も引かず

 認知症の母の受診に付き添った日のこと。最初の病院は朝6時半の予約だったので、母をせかしながら、自分もバタバタと準備をして出かけました。  次の病院に行く途中、スーパーで買い物もしました。そして次の病院での診察も終わり、ほっとして私はトイレにたったのです。用を済ませ手を洗おうとしたとき、驚愕!...

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花束との出会い

 縁あって、花束を届ける仕事をしています。苦しみ、悲しみ、つらさを笑顔に変えてくれる。...

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昔のおはなし

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ぼくの夏

 ぼくは8月生まれで夏が好きだ。暑さを嫌う人には理解できないと思うが、その暑さがいいのである。苦にならなかった暑さに異変を感じたのは去年の夏、体にこたえるようになった。...

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幸福感

 介護施設のヘルパーさんに押されて車椅子の老女が外来に現れた。かかりつけ医の待合室でその様子を見るともなく見ててた私の視線は、その後の彼女のしぐさにくぎ付けになる。...

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アナログ生活へ

ファクス付きの電話が壊れた。買い買える間にと押し入れから40年前の電話機を取り出して接続した。クリーム色のダイヤル式である。  やって来た小学生の孫たちが「ワッ、昔の電話だ」と喜んで早速電話ごっこの始まり。携帯ならパッと一押しなのに、指で一つずつ回さねばならない。「ちょっとお待ち下さい」と言ってオルゴールの音を聞かせる。十分楽しんだようだ。...

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熊本

 熊本に単身赴任して40年近く。東京とは異なり、緑は多く、車で1時間かくらい遠出をすれば海(有明海)にも阿蘇の山々にも行き着く。  おまけに現在は11階建てマンションの6階に住んでいるが、前には小さな公園もあり、ベランダには草木を植えて緑がいっぱい。朝は小鳥、ハト、カラスの声で起こされ、新聞受けのコトリという音に「起きねば」と思う。...

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ガタガタ4

 爺4人でGG4。励まし合いの会だ。75でまだ元気だと自慢していたら「80になったら、どこかにガタがくるよ」と、先輩から注意されていた。  念のため検診。つまった血管が見つかり薬を飲み始めた。その後はじめてのインフルエンザが治ったら、突然身動きできない腰痛で、どうしようもないほど難儀した。先輩は「ガタの仲間が出来た」と喜んだ。...

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体操教室

 先日テレビで「寝たきり予防」の番組を見ました。いつも運動する夫と、運動は苦手で習い事に通う妻の健康チェックをした結果、夫より妻の方が「寝たきり度」が低かったのです。寝たきり予防には人とのつながりが大切だとわかりました。...

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秋の七草

 萩尾花、桔梗撫子、女郎花、葛藤袴、秋の七草。  雄花はススキだそうな。その他の名前は知っているが、どんな花が咲くのか知らない。  奈良時代には桔梗ではなくて朝顔も入れてあったそうだ。  秋の花を耳にすると、私がまず思い出すのは野草は畑のあぜ道や川岸の土堤などで見かける彼岸花。これを七草の中に入れてほしいと思うがどうだろうか。...

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忘れられたメガネ 

 机の引き出しの奥から黒縁のメガネが出てきた。まさか。  夫の老眼鏡だ。あの日、どうして棺に納めなかったのか悔やまれる。愛読していた藤沢修平の文庫本は入れたのに。  夫はよく、メガネを置き忘れる人だった。「誰か俺のメガネを知らんかよ」。頭に掛けていることも気がつかず、皆で大笑いしたことがある。...

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今昔

 朝まだき、川のせせらぎに誘わるるまま白髪の老人が一人川辺りを歩く。その昔は、ピチピチとはじけるような若さがあった。仕立て屋さんで洋服を作り、ハイヒールも軽やかだった。...

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