
花から結実へとみつめたザクロが枝にない。朝あったのにない。
庭の隅のプランターの除草を終えて部屋へあがり、椅子にかけたところへ娘より電話。話しながらいつものように見上げる枝に実がない。さっきから風がたち、木々は揺れていた。そのため熟して落果したの?
拾いに行くとすぐ見つかった。両手に抱き、赤茶けた実をじっくり見るが、なり口は自然に熟し落ちた様子。でも、はじけていないはじめてのザクロ。たった一つ成熟した実。とにかくうれしく、ありがたい。計って供える160グラムに心湧く。
鹿児島市 東郷久子 2017/11/22 毎日新聞鹿児島版掲載