♪みかんの花が咲いている この時期になるとこの歌を口ずさむ。コロナ感染予防のため巣ごもりの中でも自然の営みは変わることなく訪れる。今年もあちこちで白いみかんの花が咲き、風に乗りかぐわしい香りが運ばれる。私はしばし足を止め、マスクを外し香りに酔いしれる。その間、私の頭の中は回り灯籠のように子供の頃に誘われる。戦後の物資乏しい時代にも、みかんの白い花とかぐわしい香りは、秋の収穫へと喜びを運んでくれたからである。今は品種改良されたみかんが店に山と並ぶ。みかんの花と香りは私にとってこの上ないご馳走である。 熊本市東区 川嶋孝子(82) 2021/5/4 毎日新聞鹿児島版掲載
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