防寒用ジャンパーに黒手袋、 白いマスクを着けて外に出る。 ゾクッとする寒さに身震いして急ぎ足、通りを横切り慣れたウオーキング路に出る。間もなく右手木の間越しに大きな月が見え隠れする。林を過ぎて明けた夜空、意外と明るく濃い藍色か緑色か、そして金色に冴える残月だ。満月に近い。右に見え、 左に見えては私の後を追っかけるようについてくる。やがて小学校グラウンドに到着する。既にラジオ体操仲間が数人、輪に加わる。 いつの間にか西の空、山近く、薄黄土色相変わらず冴える残月だ。静かで実に美しい想い残る朝の一時だった。 熊本市中央区 木村壽昭(88) 2021/3/13 毎日新聞鹿児島版掲載
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