小学6年の時、30名ほどの教室は楽しく、休み時間はあっという間で授業が始まってもガヤガヤが続いていた。先生のカミナリが落ちた。「机の上に正座」。机は本を入れるふた式になっていた。 大事な本の上に乗っていいのか迷いながら正座をした。日が落ちて暗くなり、女の子が泣き出した。荷馬車が通りかかり馬を引いていたおじさんが窓から顔を出した。「何の勉強かネ。また悪いことをしたんだろう」とニヤニヤ笑って行ってしまった。 スリッパの音がして先生の帰ってよしの声。手をつないで暗い道を走って帰った松本君はどうしているかなあ。 熊本県八代市 相場和子(93) 2021/2827 毎日新聞鹿児島版掲載
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