大分県の佐伯に住んでいた母 は、小雪がちらついていた明け 方に旅立った。 あの日から十七 回忌を迎えた。 父を見送った2年後に88歳に なった母と、今の私の年齢が重なる。ひとり暮らしをはじめた母を気遣いながら、時折訪ねては食事をするのが楽しみで、料理をしている後ろ姿にほっとしたものだ。 思えば、戦後の食糧難時代に おなかを満たしてくれただんご 汁は思い出の一品。故郷三池の味という。イリコのだしに根菜類を入れたしょうゆ仕立てで素朴な田舎のだんご汁である。 懐 かしい母の味が郷愁をそそる。 宮崎県延岡市 島田葉子(88) 2021/2/17 毎日新聞鹿児島版掲載
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