悼む
おめでたい記事が一面に載った日の社会面にあった老俳優の訃報。浅利慶太らと劇団四季を創設した日下武史氏享年86。 出演した舞台を幾つ見ただろう。オンディーヌ、エクウス、Mバタフライ、ブレイキング・ザ・コード、美女と野獣……。 「から騒ぎ」のベネディクト、「赤毛のアン」の慈愛あふれる養父マシュー、「ベニスの商人」の醜悪際まるシャイロック。指折り数えたらきりがない。...
View Article会いたかった~
買い物から帰宅すると「Tクンが来て、子供の頃の面影がなくビックリした」と夫。2人でコーヒーを飲みながら近況を語ったらしい。会えなかった私は悔いることしきり。ウオーキングを兼ねてわざわざ遠くのスーパーにでかけたことを……。...
View Articleひらめき
中3の孫娘が真っ白な夏服に大きな墨のしみをつけて帰ってきた。洗剤で洗ったり漂白剤につけたりしても、しみは真っ黒のままでびくともしない。クリーニング店でもきれいには落ちないかもということで、しかたなく家に持ち帰った。...
View Article2人でお食事
昨年、自分の病と長男の結婚を「はがき随筆」に書いた。それを読んで「大変でしたね。よかったですね。お茶でも飲みましょう」と手紙を下さった。また今年の賀状には食事のお誘いが。男性なので夫の了解を得て連絡をとり昼食を共にした。 会うのは8年ぶり、一人暮らしも10年以上かしら。背筋は真っすぐ伸び、足早に歩かれる。...
View Article初夏の手仕事
5月の中ごろ、友人の誘いでいちご狩りに。かごにいっぱい摘んで早速ジャム作り。自然の真っ赤な色が見事だ。 次にらっきょうが手に入ったので、いつものみそ漬け。一年間楽しめる。 今年はビワの大豊作わが家の老木もたわわでジャムを作ってみる。独特の味がする。 梅は塩漬け、梅みそ、そしてさしす梅。これはすし酢として使えるので重宝する。...
View Article雨に咲く
2017年7月 4日 (火) 岩国市 会 員 片山清勝 家の前は裏通りの小さな四つ角。三方から来た集団登校の児童らはあいさつしながら合流し表通りへ向かう。 そんな通りが華やぐのは雨の朝。登校する短い時間だが赤、桃、黄、青などの傘の花。3人が横並びできない狭い通りいっぱいに咲く。その傘花は自由気ままに揺れていて、雨に打たれる紫陽花のようだ。...
View Article「勉強遅くない」亡き父のおかげ
2017年6月27日 (火) 岩国市 会 員 樽本 久美 父が4月29日に85歳で亡くなった。私は父に怒られた記憶がなく、本当に優しい人だったという思いしかない。我が家は浄土真宗なので、父の法名が「釋浄楽」であった。今回、浄土真宗の法名に釋がつくことを知ったり、お寺からいただいた「作法の本」で通夜から葬儀までの作法を学んだりした。...
View Article盛大な喜寿の会企画
2017年6月26日 (月) 岩国市 会 員 片山清勝 40歳を過ぎた頃から、毎年続く高3の時の級友との飲み会。昨年「来年は喜寿を盛大にやろう」という乾杯でお開きにした。 仰せつかった幹事の役目として、まず電話で出欠確認する。「おお待つとった」と気持ち良い返事につい長話になる。関東、関西からの参加もあり盛会になりそうだ。...
View Article今日の私
ある夜、NHKの<ラジオ深夜便>から聞き覚えのある声が……。竹を割ったようなサッパリとした物言い。そうそう、これはプロ野球近鉄バッハローズの大投手、鈴木啓示さんだ。そのトーク番組聞くともなく聞いていると、こんなことをおっしゃる。 「私もね、年を取りました。でもね、これからの私の人生の中で今日の私はいちばん若いんですよ。頑張ります」...
View Article観音祭り
小学生の頃、父母の実家のちょうど中間にある岬の六月灯を待ち焦がれた。太崎観音と呼ばれて、昔の土砂崩れで集落は既になく、祠があるだけの場所だ。桜島と霧島連山を望め、撮影ポイントに指定されている。 祭り当日は国道の両側に並ぶ多くの露店が、アセチレンガスの明りの下、玩具や花火、綿飴などを所狭しと並べ子どもたちを誘う。母親から促され、名残惜しく何度も振り返りながら家路に就いたものだ。...
View Articleひまわりの花
ひまわりの花が咲き誇るこの時期にいつも思い出す事がある。長男が小学校に入学した年の4月に思いがけなく大雪が降り、庭一面10㌢くらい積もった。長男も喜んでいたが、突然ポットからお湯をコップに入れて苗木にかけ始めた。私はダメ! と大声で叫んだ。息子は「でも冷たくて可哀そう」。息子の優しさだと気づき、大声で注意した事を反省した。...
View Article気になる敬語
2017年8月19日 (土) 岩国市 会 員 角 智之 最近「犬に餌をあげる」や「花に水をあげる」などの言葉をよく耳にする。「あげる」は謙譲語で相手の立場を高めて自分がへりくだる表現。ペットや植物に対して使うのは本来おかしい。餌やり、水やりでよい。 先般、愛用している腕時計を分解掃除に出した。受け取りに行くと店員は「使い始めはしっかりネジを巻いてあげてください」と。...
View Article老いて「ごっこ」
2017年8月20日 (日) 岩国市 会 員 山下 治子 大きな水筒に冷茶を入れる夫に「暑いから今日はやめたら」と言うと「悪魔よ、ささやくな。野菜という子供たちが待っている」と畑へ向かう。昼近くに「こんちわぁ、奥さん」と裏口から声がかかる。「採れたて野菜はいかがスか」「あら八百哲さん、今日もすごい収穫ね」とバカな八百屋ごっこが始まる。...
View Article60歳で始めた妻との共用日記
2017年8月21日 (月) 岩国市 会 員 山本 一 60歳を機に、妻と共用の5年日記を始めた。ページの中央に縦線を入れ2人分に分ける。左側を私、右側を妻が使う。お互い、日々あったことや感じたことを自由に記入する。今年は16年目。ちょうど4冊目に入ったところである。...
View Article夫への感謝状
夫と、あれやこれれやと検討し話し合った。思い切って古里の出水の古民家を買った。猛暑の中、札幌生まれの夫が汗だくで修理している。札幌生まれなのに私より寒さに弱い。暖房を18度に設定していると、クシャミが出て鼻水をたらしている。結婚してからずーっと雄鶏である私のあたため方が強すぎて、いまだにひよっこのままの夫である。...
View Articleあの子がねえ
小学1年の孫がおばあちゃんに話した。「おじいちゃん、たし算、間違ってばかりだよ」。たまに会話がつながらないこともあったが深く考えなかった。病院に連れて行くと「認知症」と。投薬を始めて3年。千葉に住む私より2歳下のいさこの博君。この病も老いる一つの方法と聞くが、無情極まりない。明日は我が身かも、と自戒する。...
View Article出会い
羽田空港までのモノレールで若い男性2人と向かい合わせに座った。遅れてきた青年が私の横に。3人の会話に枕崎とか出てくる。鹿児島へ出張ですかと聞くと逆に出張帰りという。標準語がうまい。後からの青年は、都城で、チェーン店のゼミなどで3人は顔見知りだという。...
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