座右の銘として
子いわく「君子矜して争わず」 過日、同好の集まりで若い者のあまりの無礼さに、つい声を荒げ席を蹴ってしまった。そのときは俺にもまだ元気が残っていたかとうれしい気もした。 ところが日ならずして手元の論語の以前付箋した箇所を何気なく開けたら冒頭の一節が出てきたのである。...
View Article傘寿を迎えて2
ついに80歳の坂を越えたが比較的元気である。父は85歳で他界したが、私の歳までには脳梗塞を3回も患った。私は住職の座は2年前に譲ったが、今も現職の僧侶として人々に向き合って生かされている。...
View Article呪文のカンカラ
カンカラコモデケア。呪文の言葉。30年ほど前に地方の温泉街で開かれた、広報担当者のセミナーで耳にした。 呪文は感動、カラフル、今日性、物語性、データ、決意、明るさの頭文字だ。ジャーナリスト志望の若者向けに、読ませる原稿の極意として講師の毎日新聞Y記者が編み出した文章術。...
View Article義実家の恐怖
「あなたたちは幸せ者なのよ! 鹿児島に嫁がなくて良かったわね!」 鹿児島出身者で、地元に嫁いだ女性にとって、夫の実家から干渉されるのは当然だそうだ。 家族旅行に必ずついて来る義父、知らぬ間に部屋の片付け、模様替えをする義母など。...
View Article後悔
病床の夫への後悔の念にかられる。こんなときはこのようにと足指の爪を切ってやれなかった。爪が妙に曲がり黒ずみ伸びた。何だか切るのが難しい。医師が処置した。感慨無量。夫は明朗な気分に浸った。爪は大切な身体の一部だが、つい見逃してしまう。10年余り病魔に襲われ壮絶なガンとの戦いに暮れた。...
View Article思いやりの心を
スーパーの3階から階段を下りていた。おぼつかない足取りを見かねて女性が「持ちましょうか」と声をかけてくれた。 「ありがとうございます。助かります」。その人は急ぎ足で1階まで下りていかれた。「ここに置きまーす」。階段を下りながら軽く会釈した。 ホットな気分で食品売り場を歩いていたら、後方から男性の押すカートが弱い左足の踵を直撃した。あまりの痛さにその場にしゃがみ込んだ。...
View Articleペンクラブ賞に堀さん、馬渡さん
毎日ペンクラブ鹿児島の秋の研修会が15日、鹿児島市の市勤労者交流センターであった。昨年10月からの1年間、本誌鹿児島版に掲載された「はがき随筆」の中から選ぶ「ペンクラブ賞」の表彰式もあり、姶良市加治木町の堀美代子さん(71)と鹿児島市慈眼寺町の馬渡浩子さん(68)に高橋宏明会長からそれぞれ記念の盾が贈られた。...
View Article夜明けの鶴
庭に出ると、夜明け前の満点の星が美しい。車を出して鶴の越冬地に行ってみた。クワッ、ピヨッ、クワー。遠くねぐらの水が細く光るほかは何も見えない。双眼鏡をのぞくと水の上に鶴が黒く見えた。しばらくしてひときわ高く見える紫尾山の尾根の後ろから明るくなると、鶴は餌を求めてだろう飛び立った。...
View Articleはがき随筆10月度
はがき随筆の10月度月間賞は次の皆さんです。 【優秀作】25日「蝸牛」堀之内泉=鹿児島市大竜町 【佳作】1日「置きみやげ」竹之内政子=垂水市田神 ▽6日「防止帽子」門倉キヨ子=鹿屋市串良町...
View Article長生きしてよ
2015年11月20日 (金) 岩国市 会 員 貝 良枝 早朝、電話が鳴る。出られなかった。また鳴る。出ると切れた。 父も義母も亡くなった知らせは早朝だった。そう思うとやっぱり気になる。着替えもそこそこに、母の家に急ぐ。 近ごろ、顔が小さくなったなアと感じていた。昨日は足がむくむと言っていたなア。 鍵は開いている。声をかけたが返事はない。 「お母ちゃん!」...
View Article佐木隆三さん
佐木隆三さんが亡くなられた。数年前、鹿児島の裁判に傍聴で並ぶと、たまたま私の前が佐木さん。初対面だが、あいさつを交わし、立ち話をした。 閉廷後「2人で飲みませんか」と誘われた。若い頃は沖縄でデモの首謀者に間違われて拘留されたり、泥酔し、タクシーのガラスを割って逮捕されるなど、失敗談が面白かった。正義感が強く、優しい人柄だった。...
View Article1代目と2代目
「新しい車を買いやったなあ。音も全然せんなあ」と近所のOさんが、2代目デミオを喜んでくださった。 私が出勤するとき、ブオーッ、ブオーッとものすごい音がするので、初代のマフラーが壊れているのではないかと心配してくださっていたようだ。...
View Articleたったの一つ
10月は投稿できず残念であった。というのは、不意打ちの病に出会い、随筆1遍も書けなかった。思いは十分にあったものの、入院中はいっこうに書く元気もなく、10月は一瞬のうちに過ぎてしまった。一時休養であったか。 11月初め、仮退院してようやくはがき随筆を創る。今の気持ち、書ける喜びを味わいながら創る。再スタートの感もしてくる。頑張れと声援あり。...
View Article駅伝
4日に指宿市であった県高校駅伝競走大会。男子は鹿児島実業が終始安定したレース運びで18年連続の優勝を果たした。女子は鹿児島女子が神村学園を破って初優勝を遂げた。さらに15日の全九州高校駅伝で、4位に入った女子の樟南が地区代表として都大路への切符を手にした。県勢としては男子の鹿児島実業、女子の鹿児島女子、樟南の計3校が12月20日、京都市である全国大会に出場することになる。...
View Article内省
昨年暮れにアイロンを買ったのに今までのばかり使い続け、今日初めて新品を使ってみた。すごく使いやすい。なぜもっと早くから使わなかったのか? 小2のとき、24色クレパスを買ってもらったのに、それまでの12色のチビちのだけ使っていたら「ケチヒロコ」と父が笑った。 せっかくおいしい食べ物も気がつくと期限切れ……。へんてこなけち癖をひきずったまま年老いてしまった。...
View Article蕎麦の味
蕎麦アレルギーの人を除けば私のように蕎麦好きが多いのではないだろうか。私は、外食のときなど蕎麦をよく食べる。 10月末近く、生駒高原のコスモスを妻と見に行った。時季外れでコスモスはあまり見事とは言えなかった。帰路、高原のふもとの麺専門のある店で蕎麦を食べた。ところが思いもかけず、おいしい味。蕎麦の産地を聞くと北海道産とのこと。妻もおいしいと喜んでいた。...
View Article