母が他界してから間もなく17年になる。この間、私にはどうしても決断できないことが一つある。それは二十数冊も遺された母の日記帖のことである。
実は七回忌法要が終わった時点で段ボール箱に入れて処分しようとしたけれども、そのとき母の日記を読んでしまった。
息子夫婦が帰郷して継職した喜び。自分より先に逝った夫の看病や子育て時代の追憶。それに90歳過ぎるまで生きた老・病・死に対する心境などが、そこはかとなくつづられていた。
日記帖を見る度に、優しく接すればよかったという慚愧の念が、私の決断を鈍らせている。
志布志市 一木法明 2015/7/25 毎日新聞鹿児島版掲載
実は七回忌法要が終わった時点で段ボール箱に入れて処分しようとしたけれども、そのとき母の日記を読んでしまった。
息子夫婦が帰郷して継職した喜び。自分より先に逝った夫の看病や子育て時代の追憶。それに90歳過ぎるまで生きた老・病・死に対する心境などが、そこはかとなくつづられていた。
日記帖を見る度に、優しく接すればよかったという慚愧の念が、私の決断を鈍らせている。
志布志市 一木法明 2015/7/25 毎日新聞鹿児島版掲載