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Channel: はがき随筆・鹿児島
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郷愁のてっど

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しょがっどんの紙面「鉄路の記憶 駅の表情」を読んであの日を思い出した。父ちゃんが「(年始回りで)かごっまにいっか!」。すぐ「うん」と返事。かごっまとは鹿児島市内の意味。宮之城駅から西駅までSL(蒸気機関車)の旅となった。当時ぼくにとって、汽車に乗って「どこか遠くへ行く」ということは夢のようだった。トンネルが近づくと「はなんすが真っ黒になっど」と慌てて木製の窓を閉めてくれた。あのカタンゴトンカタンゴトンと体に伝わる音と、ポーッと響きわたる汽笛にツンとする煙のにおいは今も心に残っている。
  さつま町 小向井一成 2017/2/5 毎日新聞鹿児島版掲載

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