市民の森を散策中、行き交った人が私の名前を呼んでいる。
びっくりして振り返ると、20年も前に知り合った男性で、相変わらず背が高い。よく覚えていたものだ。「お元気そうですね」と言うと「おかげで何とか」との返事。「あんたも元気で」と問われて「おかげさまで」と、木陰で答えを返す。
森には樹木の陰があり、熱い日は木陰で休むとほっとする。森は何も人間を休ませるために木陰を作っているのではない。
無心に自分のために成長しているだけのこと。外は猛暑、気持ちよい木陰の「おかげ」で木陰に感謝の一時だった。
宮崎市 黒木正明(86) 2019/6/20 毎日新聞鹿児島版掲載