いつもとは違う朝の気配の中、ふと目が覚めた。そうか……ここは北海道。
ほとんで遠出をしない私を見かねて、息子が連れて来てくれた。遠いから行くことは無理だろうと思っていた北の大地の歴史や自然の探索、食事など満喫させてもらったことに感謝しつつ亡き母のことを思った。
「家にいるのが一番好き」と日ごろ言っていたため無理に連れ出すことをしなかった。私自身の性格も要因だったのかもしれないが、今更ながら母の気持ちは本当はどうだったのだろうか……という思いが、じわじわと湧いて来た。
宮崎県門川町 黒木和子(66) 2019/6/19 毎日新聞鹿児島版掲載