川沿いの道を歩く。今時、野バラ、アザミ、クローバーなどの可憐な花たちが心を和ませてくれる。ある日雑木の中に「サルカケの葉」を見つけた。淡い思い出に顔がゆるんだ。
遠い昔、幼稚園児の頃の息子が、興奮気味に「お母さん! 団子の葉っぱ見つけたよ」とカバン一杯に詰めたサルカケの葉を満面の笑みで見せた。
前日、隣人たちと一緒に柏団子を作ったそれを覚えていたのだろう。後、また作ったかどうかは定かではないが、その時の息子の顔と声が忘れられない。
葉を摘み、やさしくなでた。
宮崎県西都市 河野満子(68) 2019/6/13 毎日新聞鹿児島版掲載