終戦時玄米を一升瓶で、姉が棒で突き精米していた。小学生の自分も手伝い、突いたら瓶の底が割れてしまった。慌てて家を飛びだし谷川を挟んだ山で農作業をしている母に自分は大声で伝えた。「馬鹿もん、村の人に聞こえるじゃないか」。すごい剣幕だ。知らんぷりの姉さんを羨ましく思った懐かしい昔。母は農家出の働き者で朝早くから畑山を駆け回る。父は鉱員で石が相手の掘って砕いてまた掘って、ルーペで見ては頭をひねる。だから静かな父だった。私も特に贅沢も出来ず言わずの昭和生れ。平成の次も平和を。
宮崎県延岡市 前田陸男(80) 2019/3/21 毎日新聞鹿児島版掲載
宮崎県延岡市 前田陸男(80) 2019/3/21 毎日新聞鹿児島版掲載