10月に種まきしたエンドウが収穫できるようになり、一さや一さや摘むうちに、遠い昔を思い出した。子どもの頃、下校途中に突然空襲警報のサイレンが響いた。私は防空壕が見つからず、道路沿いにあったエンドウ畑に身を隠した。伸びたエンドウのつるの間から空を見上げると、B29の編隊が爆音を響かせて通り過ぎていくのが見えた。爆弾が落ちてくるのではないかと心細さにこわばった。まもなく爆音は遠のいたが、なかなか警報解除のサイレンがならなかった。
今見上げる澄んだ静かな青空、戦争のない穏やかな日々を幸せに思う。
鹿児島県出水市 年神貞子(82) 2018/6/3 毎日新聞鹿児島版掲載
今見上げる澄んだ静かな青空、戦争のない穏やかな日々を幸せに思う。
鹿児島県出水市 年神貞子(82) 2018/6/3 毎日新聞鹿児島版掲載